一般社団法人日本テレワーク協会:テレワークで働き方が変わる! テレワーク白書2016

 

 本書はテレワーク(情報通信技術(ICT)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方)の啓発と普及を目的としてその意義、事例、課題を紹介したものになります。

 

テレワーク自体は色々と言葉も変えながら、概念自体は2000年代から度々聞くことはありましたが、いまいち定着しないまま今日まで来ているというイメージを持っていました。フリーアドレスも特定の意識の高い大企業に普及している考え方と思っていましたが、本書の事例では従業員数十人の中小企業の事例もあり、自分が思っていたよりも世の中は先に進んでいるのかもしれないと感じさせられました。

 

テレワークの概念、大企業の事例、中小企業の事例、公務員(省庁、地方自治体)、クラウドソーシングなど網羅的に取り上げていますが、決して読みにくいということはない点はよいと思います。

 

一方で、導入にあたっての障害に「セキュリティ」を挙げており、予防策は取り上げているものの実際の事故が起こった場合の対応事例等は全くなく、これで不安を払拭できるとは到底思えない点は残念です。別の障害として挙げられている「粘土層と呼ばれる管理職」はこのようなことも懸念していると思うのですが、事故事例を取り上げないまま粘土層のレイベリングはフェアではありません。

また、立場上仕方ないのかもしれないですが、全般的にテレワークの悪い部分には触れないので、この点も不満に残りました。

 

全体的には興味のある人ならば一読してもよいと思います。

【Review】安能務:封神演義(上)(中)(下)

 

封神演義(上) (講談社文庫)

封神演義(上) (講談社文庫)

 

読んでいてもどうしても昔読んだ藤崎竜版『封神演義』のキャラクターデザインで脳内再生されるにもかかわらず、趙公明も聞仲も割とあっさり退場するなどのギャップが最後まで続きました。

人間側の戦いで終盤、商(殷)の抵抗が若干あるものの、基本的には西岐(周)が商を、闡教が截教をほぼ一方的に殺戮していく話で、出てきた武将や仙人が1ページで登場と退場をくり返す単純作業のような展開が続くので苦痛でした。

これに大幅なアレンジを加えて人気作にした藤崎竜はすごかったんだなというのが、読後もっとも強く湧き出た感想です。

封神演義(中) (講談社文庫)

封神演義(中) (講談社文庫)

 
封神演義(下) (講談社文庫)

封神演義(下) (講談社文庫)

 
封神演義 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

封神演義 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

【Review】会社四季報編集部:ラクラク使いこなす 会社四季報+会社四季報オンライン

 

 『四季報』は名前は有名ですが、きちんと読み方を教えてくれる人は意外と周りにいないということで、マニュアル代わりに読んでみました。その目的通り基本的には四季報のルールの解説になるんですが、春夏秋冬各号の特徴の違いや簡易的な企業診断の方法も記載されているので、無料ということを考えるとお得な本でした。

【Review】竹沢 えり子:銀座にはなぜ超高層ビルがないのか: まちがつくった地域のルール

 

 本書は今のGINZA SIXの計画が持ち上がったことをきっかけに危機感を抱いた地元銀座が所謂「銀座ルール」を今の形に作り上げていった経緯を銀座の歴史と特性を説明しながら記したものになります。

 

銀座のイメージは「昔からの固定的な地主が代々相続して事業や不動産業を営んでいる街」というものでしたが、意外にも明治煉瓦街、関東大震災大東亜戦争の際にそれぞれ半分ほど入れ替わっている新陳代謝の激しいものだという点です。これは普段の銀座のイメージにはありませんでした。

 

銀座街づくり会議については、著者は「お白洲に並ばされ旦那衆に頭を下げて許諾を得るようなイメージ」ではないと言いますが、一方で「銀座まちづくり活動の中心メンバーとして、大企業の社員たちが活躍する日も、いつかきてしまうのだろうか」という排他性というか選民意識というか、そういうものも見え隠れして鼻につく面はあります。

【Review】NHKスペシャル取材班:キラーストレス 心と体をどう守るか

 

キラーストレス 心と体をどう守るか (NHK出版新書)

キラーストレス 心と体をどう守るか (NHK出版新書)

 

 本書はNHKスペシャルで放映された『NHKスペシャル「シリーズ キラーストレス」』での取材をもとに書き起こされた新書になります。

 

本書ではストレスとは、よいものであるにせよ、悪いものであるにせよ「変化」であると定義しており、生きている限りストレスはついて回るとしています。そして、ストレスを受けることによって生じる脳(偏桃体など)の変化が体に変調をもたらすとしています。上司との緊張関係にさらされていると常にストレスホルモンが分泌されている状態が例として取り上げられています。また子供時代のいじめがストレスとなり、脳の発達に影響を及ぼす例も紹介されています。

昔から何となく言われてきたことが脳に起こる現象として説明されています。

 

このようなストレスへの対策としては①ストレスの原因を避ける ②笑い ③友人や家族のサポートを得る ④運動 ⑤瞑想が挙げられています。また、ストレスがかかった時に備え「ステーキの写真を眺める」のレベルでいいのでたくさんの気晴らしリストを作っておくことも推奨されています。さらに、これらとは別のアプローチとして最近聞かれるようになった「マインドフルネス」の説明もあります。

 

支配的な上司の下にいることが常態化しているような状態の人はストレス対策を行うこと自体が既に難関だという現実があるはずなので、知らないよりは知っていた方がいいこともあるかもしれない、というレベルにとどまるような気がするのもまた実感です。

 

www.nhk.or.jp

【Review】中嶋康博 他:工場見学がファンをつくる ―実施ノウハウと評価方法

 

工場見学がファンをつくる ―実施ノウハウと評価方法

工場見学がファンをつくる ―実施ノウハウと評価方法

 

 自社のProperty(工場)をどのように見学させているのかという珍しい題材を扱っています。滋養の工場ではありませんが、Propertyを扱う仕事をしている立場として興味があったので、手に取ってみました。

 

工場見学の目的を「自社のファンをつくること」としており、ここまではよくある話なのですが、「ファン」というフワッとした用語を丁寧に定義していき、その定義に沿ったアンケートを作り、調査し、効果測定をしていくという流れが細かく解説されています。なので、一種の顧客満足度調査の事例を一冊にまとめた本と言えます。

 

この事例はかなり投資も人材も投入しており、なかなかまねできるものではありませんが、このような調査を具体例をもって解説してくれている資料は少ないのでその意味で非常に貴重だと思いました。

【Review】D・カーネギー:新訳 道は開ける

 

新訳 道は開ける

新訳 道は開ける

 

 普段自己啓発本の類は読まないのですが、一冊くらい読んでみてもいいかということで、Amazonセールの対象だった本書を読んでみました。

 

「不安を感じないようにする」「忙しさで不安を忘れる」「どうしようもないことは受け入れる」など、今となってはそれほど目新しくはないものの反対もできないことがならんでいます(しばしば登場する科学的な知見の妥当性はわかりません)

 

一回読めばいいかなという内容でしたが、SNSなんかで他者と相対化してしまって不安にさいなまれるような人が読むにはいいかもしれません。