読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

【Review】ウィリアム・J・ポルブー, ジェフリー・L・クルクシャンク:ハーバード・ビジネススクールが教える不動産投資ゲーム

 

ハーバード・ビジネススクールが教える不動産投資ゲーム

ハーバード・ビジネススクールが教える不動産投資ゲーム

 

 Twitterでも不動産業界の方々の話題に上ることがあったもののずっと積読となっていたのが本書です。ファンドバブルに沸く2007年発行で翻訳が不動産証券化研究会ファイナンス研究会というある意味当時の時勢を反映した本だともいえます。

 

内容は不動産投資に対する考え方(4つの要因)から始まり、簡単な収支分析、取引の流れ、新しく登場した投資形態(REITなど)の説明、開発、運営管理(AM)、出口まで一通り極めて教科書的かつ読みやすく説明されています。本当にこんなにものわかりのいい方々ばかりなのだろうかとも思いますが、そこは教科書なので。

 

日本でも一時信頼を失いかけたREITですが、アメリカでも紆余曲折があって比較的落ち着いた投資対象になったことが語られています(リーマンショックの前ですが)

その辺も興味深かったのですが、UPREITなどやはりアメリカの制度を理解していないとスッキリと頭に入ってはきませんでした。

【Review】滝澤ななみ:スッキリわかる 日商簿記3級 第4版 (スッキリわかるシリーズ)

 

スッキリわかる 日商簿記3級 第8版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)

スッキリわかる 日商簿記3級 第8版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)

 

 プロパティマネジャーになると、当然物件の予算に責任を持つことになるので、予算管理に携わっていかないといけないんですが、ずっとソルジャー営業をやっていた自分は未収金、未払金もよくわかっていない状態だったので、これはまずいそ、と勉強し始めた時に使用したのが本書です。

 

簿記3級なんで世間的に見れば大した難易度ではないんですが、社会に出て何年も経ってから新しいこと学ぶのは新鮮だった記憶があります。期中の物件管理レベルの予算管理であれば、簿記3級レベルのことがわかっていれば十分でもあるので、「今さら」と思わずにやり切れたのはよかったかな。

「いい歳だから」と尻込みしたり恥ずかしがったりしないでやりきる経験になりました。

 

内容はよくある簿記の教科書ですがネコのゴエモンが個人商店を経営しながら簿記を学ぶという仕立てなので、猫が好きな自分には相性が良かったです。この分野では大手のTAC出版発行なので、当時第4版でしたが、今は第8版になっているようです。 

スッキリわかる 日商簿記3級 第4版 (スッキリわかるシリーズ)

スッキリわかる 日商簿記3級 第4版 (スッキリわかるシリーズ)

 

 

【Review】植野 正美:アメリカビル物語―プロパティマネジメント奮戦記

 

アメリカビル物語―プロパティマネジメント奮戦記

アメリカビル物語―プロパティマネジメント奮戦記

 

 「本書は、プロパティマネジメント(不動産物件管理)のサクセスストーリーである」と冒頭で述べられている通り、不況下に竣工してしまったシアトルのビル(U.S. Bank Centre)を不動産のことなど何もわからないH社(ハザマ)の社員が立て直すという読み物風の本となっています。この文体はちょっと鼻につきます。

 

90年代半ばのシアトルが舞台なので、今から見ると20年前のアメリカの話なのですが、現代の日本と比べてみるという感じの軽い読み方をするのがいいのではないかと思います。

 

当時としてはトロフィーアセットというためか、新PM会社のLP社(ラサールパートナーズ)の担当チームが非常に潤沢で羨ましくなりました。今の日本のPM会社だと10万㎡級の物件でも意外と貧弱な陣容でまわしているケースも見受けられます。

また、人件費はPMフィーとは別建てでオーナーに請求できるというのは日本のPMが当初とはずいぶん違うものになっている要因であると思いました(アメリカは管理費が実費ということとのセットだと思いますが)

そしてオーナーがテナント内装費を負担するという慣習も日本でいう定期借家契約に基づく確定的で予測しやすい収益構造とのセットなのだと感じさせられます。未だに普通借家契約の日本では根付かないでしょう。

 

エピソードとしては清掃係にユニフォームを支給して士気と連帯感を高めたという話が好きです。

 

U.S. Bank Centreを検索してみたらCBREによるHPが出てきました。

www.usbankcentre.com

 

【Review】中村 恵二 ,榎木 由紀子:図解入門業界研究 最新ホテル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

 

図解入門業界研究 最新ホテル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

図解入門業界研究 最新ホテル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

 

 知らない業界のことが手軽に知るのに秀和システムの図解入門業界研究はよく利用しており、今回もあまり関わったことのないホテル業界の外観に触れるために購入しました。昨今動きが激しい業界でもあるので、第2版から4年での改訂となっております。

 

ホテルの定義から事業主体の分類、経営形態の分類、部門の説明、最近の動向まで見開き1~2ページ程度で説明しているのでサクサク読み進められるのがこのシリーズのいいところです。半面総花的ではあるので、さらに深く知るには専門書を手に取る必要があります。

 

時々誤植や間違いと思われる個所もあるので、それには気を付けたい。

 

 

図解入門業界研究最新ホテル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 (How‐nual Industry Trend Guide Book)

図解入門業界研究最新ホテル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本 (How‐nual Industry Trend Guide Book)

 

 

【Review】渡辺 晋 ,日本ビルヂング経営センター:最新 ビルマネジメントの法律実務

 

最新 ビルマネジメントの法律実務

最新 ビルマネジメントの法律実務

 

 本書はビルマネジメントに係る法律関係の話題にはしばしば登場する渡辺弁護士の概説書になります。関係の深いビルヂング経営センターも名前を連ねています。

 

ビルに係る法律問題を「ビルのいま」「ビルを借りる」「ビルを貸す」「ビルを守る」「ビルを託す」「ビルを買う」「ビルを売る」「ビルを建てる」に分けて解説しています。

 

260ページにこれだけ詰め込んでいるので正直一つ一つの話題は薄いと言わざるを得ないのですが、オフィスビルに限定した類書が少ない「借りる」「貸す」「守る」あたりは発行から10年経った今でも取っ掛かりとして役立つかと思います。

 

取っ掛かりという意味ではオフィスビルに関する裁判例の概要が豊富なので、この本をガイドにして個別の話題に関して別書で調べていく、という使い方が一番適しているかと思います。

【Review】杉原 淳子 , 森重 喜三雄 , 久野 喜義 他:新ホテル運営戦略論―日本型ホスピタリティ経営を目指して

 

新ホテル運営戦略論―日本型ホスピタリティ経営を目指して

新ホテル運営戦略論―日本型ホスピタリティ経営を目指して

 

 最近ホテル(業界、事業、投資対象としての特性)を読み始めたのですが、本書は主に事業について概説したものになります。冒頭で『新総支配人論』という本の続編であることが述べられていますが、特に読んでいなくても問題ありません(私も読んでいません)。

 

200ページほどの本なので、それほど事細かくホテル事業について解説するということではなくて、当時(2009年)の業界の課題と各執筆陣の専門分野を重点的に取り上げているような構成です。

 

門外漢としてはユニフォームシステム、イールドマネジメント(レベニューマネジメント)についての概説は取っ掛かりとして助かりました。また、外資系ホテルと日系ホテルの営業組織の差異なども参考になりました。

 

その他目を引くのは、東日本大震災前にもかかわらずBCPに一章割かれていることで、これは不特定多数を顧客とするホテルアセットならではだと思います。

 

新 総支配人論―グローバルホテル経営の日本的着地を目指して

新 総支配人論―グローバルホテル経営の日本的着地を目指して

 

 

【Review】信田 直昭 , 不動産マネジメントビジネス研究会:オンリーワン時代の不動産マネジメントビジネス

 

オンリーワン時代の不動産マネジメントビジネス (住宅・不動産実務ブック)

オンリーワン時代の不動産マネジメントビジネス (住宅・不動産実務ブック)

 

 以前紹介した『ビルオーナーのためのプロパティ・マネジメント入門』と同じころに書かれているため、プロパティマネジメント(PM)、アセットマネジメント、ビルマネジメント(BM)の関係性がどのようになっていくのかということがまだ見えておらず、米国との比較で言及されている趣が強いです。

 

中心の話題はプロパティマネジメントなんですが、ビルオーナーのためのプロパティ・マネジメント入門』と比較すると、実務者との対談形式なので、より現場寄りの話が多い印象です。

 

日本の法体系の中ではPM会社のリーシング部門は充実しにくい、BM会社の教育体制、現業部門疲弊など今でも運用上抱えているだろうという課題は出ていますが、2017年になっても特効薬は思いつかないですね。

 

特に共感できたのは「大規模開発プロジェクトの経営管理業務(その特徴・・課題・展望」という六本木ヒルズの街区統合管理を紹介した章で、権利者の多い大型複合施設の管理の概要が説明されているのが勉強になります。この手のスキームは15年くらい経つと構築時の当事者がほぼいなくなるので、今現在どのような課題が出ているのか、そういうことにも興味がわきます。