【Review】岩田 研一:「ビル」を街ごとプロデュース---プロパティマネジメントが ビルに力を与える

本書は財閥系不動産会社の子会社(三菱地所プロパティマネジメント株式会社)のことを紹介しているのですが、子会社、しかも所謂管理会社がこういう本を出すのは珍しいなと感じます。

 

もともとのルーツの一つである横浜ランドマークタワー立上げの話や東日本大震災の時の話、丸の内のライトアップの話など一つ一つの話は経験上この会社なら確かにありそうだな、というものばかりなので、この手の宣伝本としてはそれなりに本当のことを書いているだろうなとは思いました。

 

ただ、同じく経験上納得感がなかったのはこの本には彼らにとっての最大の顧客でもある親会社のことがほとんど触れられていない点ですね。彼らとは業務でも接したことはありますが、常に親会社に気を使っているの雰囲気が露骨にあるので、その光景と本の描写との落差が臨場感を減じていると感じました。

 

(大型施設を手掛ける)プロパティマネジメント会社を紹介した本としてはよくできている方だと思いますが、グループの中での子会社を描いた本としてはあまり出来が良くないというのが全体の感想でした。