【Review】西浦 三郎:ヒューリック ドリーム/企業の成長と社員のやりがい、トップは会社を変えられる

 

ヒューリック ドリーム/企業の成長と社員のやりがい、トップは会社を変えられる

ヒューリック ドリーム/企業の成長と社員のやりがい、トップは会社を変えられる

 

 今をときめくみずほ銀行系不動産会社ヒューリックの成長物語を社長が自ら語る本書は、スタイルとしては中期経営計画と私の履歴書の足して2で割ったような感じです。

 

個人的な記憶を思い起こすと、2010年ごろ、当時所属してた会社の同僚と「ヒューリック行きてぇな」と言い合っていたので、外から見ててもその頃から勢いが出てきていたのでしょう。そうすると7年以上勢いが続いているということになり、時に危うさを指摘されながらも、その勢いの一旦くらいは見たくて手に取ってみるわけです。

 

懐かしの日本橋興業時代の話から戦略の順序とタイミングを見極めながら、中堅不動産会社としての事業領域を広げていく過程やビジョンなんかは本を読んでいるというよりもPowerPointの資料を読んでいるかのようでさくさく進めることができます。

 

個人的には2日で物件取得の決断をするという決裁スピードの速さとその意思決定ルートが驚きで、この手の出自の会社で本当にそんなことができるのかとにわかには信じがたいです。西浦会長自身、今までは大きな失敗はなかったと言っているように、この話が本当だとしても現状ではこれでうまく回っているのでしょうが、一つ大きな失敗が起きた時、それを維持できるのかということが課題に残るんではないでしょうか。

 

ただ、この本の一番のメインターゲットは不動産業界人ではなくて就活生なんじゃないかなって思ってます。多少誇張があったとしてもあの職務環境を繰り返し強調されたら第一志望にする就活生結構多いんじゃないかな。同時にこの福利厚生が維持できるのは高収益体質が維持できている間だけ、という趣旨の(当然の)逃げ道も記載されています。