【Review】牧野 知弘:マイホーム価値革命―2022年、「不動産」の常識が変わる

 

マイホーム価値革命―2022年、「不動産」の常識が変わる (NHK出版新書 519)

マイホーム価値革命―2022年、「不動産」の常識が変わる (NHK出版新書 519)

 

 知り合いからいただきました。牧野氏はこの3年くらい、『空き家問題』上梓あたりから知名度が上がってきています。第一勧銀→BCG→三井不動産ガーデンホテルズ含む)→パシフィックコマーシャルインベストメントを経て今はオラガ総研というホテルのコンサルティングなんかを手掛ける会社を経営しています。

 

こうして経歴を見ていると純粋に不動産の人、という感じもせず、 不動産の人と見た場合にはおそらくオフィスとホテルの人で住宅の人ではないと思うんですが、『空き家問題』以降はマンションの話を多くするようになっています。

 

出版ペースもかなり早く、以前の著書の使いまわしやデータを引っ張ってきて結論まで組み立てるまでのフローが確立されているんだろうなとうかがわせます。

 

内容の方ですが、以前から感じてはいましたが、牧野氏は部分部分を見ると明快に語っているようで、その実、全体を見ると結論がよくわからなくなるという傾向があります。区分所有建物(要するにマンション)は年数が経つと区分所有者間に利害不一致が多くなって、修繕も建て替えもままならないと言っておきながら、別の箇所ではマンションは7~8年経ったものを買うべきと言ってみたりという「それは整合性取れてないんじゃないですか」と言わざるを得ないです。

 

レジ(やオフィス)への投資はもう先がないから、これからはオペレーショナルアセットの視点を取り入れた店舗付住居がよいという解を気軽に言っているのはどう考えても首をかしげました。また「実際に、日本でもソニー不動産やヤフー不動産といった「ネット不動産ビジネス」は急伸しています」というくだりはソニー不動産が未だに赤字を解消できていないことを考えるとその現状認識が正しいとは思えませんでした。

 

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空き家問題 (祥伝社新書)

空き家問題 (祥伝社新書)