【Review】水口剛:ESG投資 新しい資本主義のかたち
GPIFの動向に引っ張られるような形で、本邦でも「ESG投資」という言葉を目にすることが増えてきました。職務上これに絡むことが増えてきているものの何のために取り組んでいるのかわからなくなるので、一度落ち着いて学ぼうと思って手に取った一冊になります。
長期投資を中心とする投資家は持続可能な社会を残すことが結果的に長期的なパフォーマンスの向上になる(からESG投資に取り組むのだ)、というのは嘘か本当かわからないですが、対外的な説明として使うには悪くないフレーズかなと感じました。
また主なESG投資の手法
①ポジティブスクリーニング(インデックスなどを使用し、投資対象を絞り込む)
②インテグレーション (財務分析にESG要素を織り込む)
③ダイベストメント(特定の企業を投資対象から外す)
④エンゲージメント(株主としての影響力を発揮し改善を促す)
の紹介もされています。ESG投資というとダイベストメントが話題になりますが、基本的にはエンゲージメント的なものの方が有効だという議論も同時に紹介されています。
細かい話では温暖化についてはカーボンフットプリントあたりは日本の省エネ法に割と近い考え方に見えるので、すんなり入ってきますし、強制労働の撲滅などは意義はわかるのですが、動物の権利などの項目になるとよく理解の出来ない倫理観が押し出されているので、意義を見出しにくいものだと感じました。
ESG投資に関する書籍は現状ではほとんどないため、とりあえず手に取る一冊としてお勧めだと思います。