【Review】竹沢 えり子:銀座にはなぜ超高層ビルがないのか: まちがつくった地域のルール

 

 本書は今のGINZA SIXの計画が持ち上がったことをきっかけに危機感を抱いた地元銀座が所謂「銀座ルール」を今の形に作り上げていった経緯を銀座の歴史と特性を説明しながら記したものになります。

 

銀座のイメージは「昔からの固定的な地主が代々相続して事業や不動産業を営んでいる街」というものでしたが、意外にも明治煉瓦街、関東大震災大東亜戦争の際にそれぞれ半分ほど入れ替わっている新陳代謝の激しいものだという点です。これは普段の銀座のイメージにはありませんでした。

 

銀座街づくり会議については、著者は「お白洲に並ばされ旦那衆に頭を下げて許諾を得るようなイメージ」ではないと言いますが、一方で「銀座まちづくり活動の中心メンバーとして、大企業の社員たちが活躍する日も、いつかきてしまうのだろうか」という排他性というか選民意識というか、そういうものも見え隠れして鼻につく面はあります。