【Review】一般社団法人日本テレワーク協会:テレワークで働き方が変わる! テレワーク白書2016

 

 本書はテレワーク(情報通信技術(ICT)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方)の啓発と普及を目的としてその意義、事例、課題を紹介したものになります。

 

テレワーク自体は色々と言葉も変えながら、概念自体は2000年代から度々聞くことはありましたが、いまいち定着しないまま今日まで来ているというイメージを持っていました。フリーアドレスも特定の意識の高い大企業に普及している考え方と思っていましたが、本書の事例では従業員数十人の中小企業の事例もあり、自分が思っていたよりも世の中は先に進んでいるのかもしれないと感じさせられました。

 

テレワークの概念、大企業の事例、中小企業の事例、公務員(省庁、地方自治体)、クラウドソーシングなど網羅的に取り上げていますが、決して読みにくいということはない点はよいと思います。

 

一方で、導入にあたっての障害に「セキュリティ」を挙げており、予防策は取り上げているものの実際の事故が起こった場合の対応事例等は全くなく、これで不安を払拭できるとは到底思えない点は残念です。別の障害として挙げられている「粘土層と呼ばれる管理職」はこのようなことも懸念していると思うのですが、事故事例を取り上げないまま粘土層のレイベリングはフェアではありません。

また、立場上仕方ないのかもしれないですが、全般的にテレワークの悪い部分には触れないので、この点も不満に残りました。

 

全体的には興味のある人ならば一読してもよいと思います。