【Review】特掃隊長:特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録

 

 私はまだ遭遇したことはありませんが、不動産に関わっているとしばしば家で人知れず死んでしまった人の話を聞きます(実際本書にも不動産業の人間はよく出てきます)。

 

遺体があった部屋は物理的にも凄まじい状態になりますが、本書はそれを処理する「特殊清掃」に携わる"特掃隊長"がその仕事のことを淡々と記したものになります。仕事だからやっているというように本当に特掃隊長にとっては日常のこととして書かれています(各章は大体遺体が見つかって依頼が入るところから始まる)

 

病気の娘の余命がわかっていて、それを覚悟し、死んだ時も受け入れることができたが、娘の遺体が1日と経たないうちに腐敗して醜く膨れ上がることは覚悟も受け入れることもできなかった母親の話、いつもと同じように腐乱痕を処理していたら途中でそれが知り合いのものだったわかり、仕事を仕事として処理できなくなってしまった話、自分の恩人が孤独死するのを気づけなかったことを悔やみ、プロが感心するほど腐乱痕を処理していた依頼者の話が印象的でした。