【Review】木曽 崇:「夜遊び」の経済学~世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」~

 

カジノの専門家でもあり、Twitterでも頻繁に情報発信している著者が、観光は「稼げる観光」でないと、結局疲弊するとし、ナイトライフエコノミー(日没以降翌朝までの間に行われる経済活動)の必要性について説いております。

 

ナイトライフエコノミーはキャバクラやダンスクラブのみではなく、それを支える交通、社会人向けの教育産業なども含めた広範なものだというのが、著者の主張です。不動産業界に身を置くものとしては、ここに書かれている「都市部の遊休化(使われていない時間帯がある状態)している不動産を最大限に活用して経済を活性化させるとともに、地域としては固都税の増大としてメリットが出てくる」という主張はわかりやすいものではありました(固都税払うのは不動産オーナーなので、この過程で賃料に跳ねないと意味がないのですが)

ここでは成功例として川崎、渋谷、八戸、中州、シンガポールが挙げられています。

 

一方で地域にメリットを提示できなかったために失敗した神戸、湘南、韓国のような例もあることも示されています。

 

自分としては都バスの山手線内深夜(終電後)運行、ドン・キホーテ稼働率向上策やシンガポールが如何にしてカジノをフックにして街全体に観光客を回遊させているかの取り組みは興味深いものでした。

反面、渋谷の取り組みが著者の言う「稼ぐ観光」にどの程度貢献しているのかがわかりにくかったですね。

 

全体としては不動産視点としても面白く読める本だと思います。