【Review】澤井律彦:小規模ソシアルビル経営の法務 補訂版: ソシアルビルの安定経営、安全経営、つまずかない経営のための 契約業務のエッセンス

 

 行政書士兼大家業の方によるソシアルビル(飲食店などが入居するビル)における契約書の在り方を実際の経験を交えて示した本です。

 

ソシアルビルに関する経営指南書はオフィスビルに関するそれ以上に少ないので勉強になります。また、メインの話題は「ソシアルビルの資産価値を守る契約書について」なのですが、終始①余計な負担を負わない②(ビルオーナーとして)正当な利益を守る③ビルの経営安全維持(とりわけ反社勢力の排除)④ビルの経営安定(テナント審査のコントロールとリスクのコントロール)の観点から書かれているので、頭に入ってきやすい内容となっています。

 

また、経験談のパートにおいてもテナント側内装業者のいい加減さ、キャバクラの管理難易度はラーメン店と同程度だがホストクラブはビルが荒れる、風営法の許可証の扱い、雨漏りの厄介さ、水光熱データの入手方法と使い方など勉強になるトピックが多い良書でした。

 

望むとすれば、(本書の範囲の限りでは)契約書に比べて館内細則の部分が弱いと感じましたので、そこを拡充してほしいと思います。