【Review】木下 彩:「庭のホテル東京」の奇跡 世界が認めた二つ星のおもてなし

 

「庭のホテル東京」の奇跡 世界が認めた二つ星のおもてなし
 

 最近野村不動産に買収されましたが、独立系ながら近年高い評価を受けていた庭のホテル東京の社長が体験記です。実家の日本旅館が高度経済成長期の時流に乗りビジネスホテルに業態転換した1970年代、社長になりバブル崩壊と競争の激化にさらされた90年代、このままでは先がないとビジネスホテルから再度業態を変えた2000年代と独立系ホテルの立ち位置の変化が自慢する風でもなく静かに書かれています。

 

コンセプトには拘りを感じさせる一方、何か派手なことをやったわけでもなく、淡々と積み重ねていって今の評価を手にしたのだと感じさせる筆致です。現実的な事業展開をするためにホテルを一棟売却して、その翌月にリーマンショックが来るという展開には幸運というものを考えさせられるものがありました。

 

www.hotelier.jp