【Review】田中 毅弘, セコム:ビルマネジメントの新しい知識―リスクとセキュリティを考える

 

ビルマネジメントの新しい知識―リスクとセキュリティを考える

ビルマネジメントの新しい知識―リスクとセキュリティを考える

 

 ビルマネジメントにおけるリスクとセキュリティというかなり地味な題材の本です。共著ではありますが、編集はセコムという割と珍しい本でもあります。

 

中身は「PMとBMの間、セキュリティ要素強め」という印象でやはりかなり地味です。現場重視のBM従事者が読むとも思えず、PM従事者が読むにも範囲が偏っていてとっつきにくいんではないかと感じました。ビルマネジメント系の本はそれほど数があるわけではないにもかかわらず、(さして売れたとも思えない)類書と比較してもまったく売れた形跡がないので、それだけ読者を選ぶ内容になっていると思います。

 

とはいえ、日々雑務に追われるPM業務、BM(統括)業務を経験した後で読むとこの本に書かれているセキュリティ理論やメンテナンスマネジメントの考え方は参考になると思いました。これらの話題は断続的に実務で求められるもののどう手掛けたらいいのか頭の中で整理しづらくやっつけになりがちな分野でもあります。共著ゆえにやや整合性を欠く部分や何の説明もなく名将もわからないソフトウェアの話が始まったりする部分はありますが、全般的に図表はよく整理されているので、頭の整理をするの助けになります。

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築10年ほど経過の建物でタイルの浮きが発生した場合、ビルオーナーが「技術を信頼して、お願いしているのに瑕疵ではないか」と詰め寄っても、ゼネコン側は「経年劣化での浮きだ」と主張し、きまって「(財)日本建築防災協会」の資料を示して、この協会資料によると築10年経過建物の平均タイル剥離率は17%なので、他の建物例から見て貴社は決して多くないと説明する。(101ページ)

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これ、確かに言われたことあります。

 

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