【Review】渡邉 正裕:35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る

 

 本書は、折に触れて読み返していた本なのですが、先日『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか?-キャリア思考と自己責任の罠』を読んで、久々に引っ張り出してきました。

 

自己責任を求められた90年代後半~2000年代前半の所謂氷河期世代が問題化していた頃の著作なので「普通の人が国にも社会にも頼らず、どのようにキャリア形成していくか」という話になっています。したがって全体的に感じ取れるのは国のことも社会制度のことも全く信じていないこと(利用できるものはする)というスタンスです。

 

その中で「まず働く動機(やりたいこと)を明確化していく。その動機を明確化していって出てきた選択肢から自分の能力(できること)にあったものを選んでいく。これを35歳までに完了させる」ことを提唱します。『ゆとり世代は~』では「できることを中心としたキャリア選び」を提案していましたが、これについては(出版された時系列は逆ですが)「動機が追いつかないキャリア形成は精神と肉体の破綻を招く」と批判的です。私は世代的なものもありますが『ゆとり世代は~』は解決策を提示しているようで特に新しいものはなかったと思っていますので、本書の方が今でも実践的だと感じます。

 

著者の渡邉氏はネット上ではタクシー渡邉とも言われ、しばしばクセのある論者と見做され、政治的主張の中にも首をかしげるものはありますが、キャリア論については普通の人にとって実践性の高いものだと思います。

 

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