【Review】釜口浩一:これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある

 

これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある

これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある

 

 「副業ビルオーナーも、これから始める人もこれだけは知っておきたい」とあるので、個人ビルオーナー向きのビル経営指南本と勘違いしやすいですが、実際はデベロッパー等伝統的大手ビルオーナーの担当者が(類型として)どのような思考回路を持っているかを知るのに都合がいい本だと思います。ビル経営の教科書や著作はそれなりに数は出ていますが、ここまで「テナントの質がビルの格を決める」とテナントに「格」という言葉を当てて連呼している本あまり記憶がないです。

 

NTT都市開発に15年(NTT不動産部門も含めれば18年。この間におそらくグランパークタワーの開発に関わっている)いればこういう思考回路になるだろうと納得の内容(内容自体は至極真っ当です)ですが、問題は個人ビルオーナーやそれに準じる中小ビルオーナーがここに書いている内容を実行し続けることができるのか、ということで、著者の言う「三つ星オフィスビル」の手本がPMO(と思われる)ならば、ちょっと無理がありすぎるのではないかと感じました。

あと個人的にはうるさそうな関連会社テナントをどう捌いていたのか触れられているとよかったです。

 

前述のとおり内容自体は真っ当なので、読んで損することはないと思います。