【Review】池尾和人:現代の金融入門 [新版]
【Review】榎本 篤史:すごい立地戦略 街は、ビジネスヒントの宝庫だった
すごい立地戦略 街は、ビジネスヒントの宝庫だった (PHPビジネス新書)
- 作者: 榎本篤史
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2017/03/18
- メディア: 新書
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商業というか店舗不動産はオフィスとも考え方や情報の廻り方が違うことは、実務に携わっていれば、なんとなくわかるものではありますが、正確にどのように考えているのかというのはなかなか表現できないものです。
本書ではロードサイド店舗、コンビニ、飲食店、出店戦略がいらない店舗などに分けてその考え方を極めて簡単に示してくれています。
それらの中で業態による違い、会社による違いや店舗運営を考える上での簡単な目安の数字などがあるので、これらは押さえておきたい項目です。薄くて読みやすい本ですが、満足度の高い出来でした。
"セブン-イレブンの出店は、さながら「ここにセブン-イレブンがあるべきだ。今そこに、何が建っていようと」というような出店の仕方です。"と書かれているセブン-イレブンの出店方針は印象的でした。富士そばとルノアールの話もありましたが、この2つに関しては少し綺麗に書いていると思いました。
【Review】林 兼正:なぜ、横浜中華街に人が集まるのか
著者は横浜中華街の広東料理店萬珍樓の社長です。
書いてあることは中小企業の社長にありがちな思い込みもあると思うんですが、華僑でありながら「俺たちにはここしかない」と言って日本で日本人に来てもらえる街づくりしてるっていうのがおもしろいですね。
冒頭の「町はつねに衰退に向かって疾走している」というフレーズが一番印象深いかな。確かに町(街)維持し続けていくだけでもエネルギーを使いますからね。
- ジャンル:広東料理
- 住所: 横浜市中区山下町153
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- (写真提供:しゅうりのしゅう)
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【Review】森 稔:ヒルズ 挑戦する都市
森ビルの森稔氏が生前に出していた新書で、テイストは私の履歴書に近いものです。タイトルが「ヒルズ」なので、最初のアークヒルズ、象徴としての六本木ヒルズの話が中心で最後に上海環球金融中心と環状2号線開発の話が加わっています。
最初の100ページは都会開発に関する自らの持論が続き、ほとんど金の話が出てこないので、本当にディベロッパーの話なのかよくわからなくなりますがナンバービルや再開発の権利調整の話になると(きれいに書いていますが)貸ビル業、ディベロッパー的な話になっています。リクルートの江副浩正氏に第2森ビルの屋上(ペントハウス)を貸した話なんかもあってナンバービルやっていて上昇気流に乗っていく頃の話が一番好きかな。
広報等のソフトも含めた長期的なタウンマネジメント(の触り)については森ビルのような長期で街づくりをする志向でないと力を入れられないことですし、ワンフロアは大きい方がいいと言って六本木ヒルズの基準階を1400坪にした話などはのちに振り返ってみれば卓見だったのだと言わざるを得ません。
一方で森章や森トラストの話はただの一文字も書いてないので、ここに書かれていない(書けない)ことでも1冊以上本が書けるだろうと想像すると残念ですね。『ヒューリック ドリーム』と同じく不動産業界志望する就活生は一度は目を通しておいた方がいいかもしれませんね。
real-puppet-man.hatenablog.com
【Review】田中 毅弘, セコム:ビルマネジメントの新しい知識―リスクとセキュリティを考える
ビルマネジメントにおけるリスクとセキュリティというかなり地味な題材の本です。共著ではありますが、編集はセコムという割と珍しい本でもあります。
中身は「PMとBMの間、セキュリティ要素強め」という印象でやはりかなり地味です。現場重視のBM従事者が読むとも思えず、PM従事者が読むにも範囲が偏っていてとっつきにくいんではないかと感じました。ビルマネジメント系の本はそれほど数があるわけではないにもかかわらず、(さして売れたとも思えない)類書と比較してもまったく売れた形跡がないので、それだけ読者を選ぶ内容になっていると思います。
とはいえ、日々雑務に追われるPM業務、BM(統括)業務を経験した後で読むとこの本に書かれているセキュリティ理論やメンテナンスマネジメントの考え方は参考になると思いました。これらの話題は断続的に実務で求められるもののどう手掛けたらいいのか頭の中で整理しづらくやっつけになりがちな分野でもあります。共著ゆえにやや整合性を欠く部分や何の説明もなく名将もわからないソフトウェアの話が始まったりする部分はありますが、全般的に図表はよく整理されているので、頭の整理をするの助けになります。
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築10年ほど経過の建物でタイルの浮きが発生した場合、ビルオーナーが「技術を信頼して、お願いしているのに瑕疵ではないか」と詰め寄っても、ゼネコン側は「経年劣化での浮きだ」と主張し、きまって「(財)日本建築防災協会」の資料を示して、この協会資料によると築10年経過建物の平均タイル剥離率は17%なので、他の建物例から見て貴社は決して多くないと説明する。(101ページ)
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これ、確かに言われたことあります。
real-puppet-man.hatenablog.com
【Review】山内 和美:ラブホテル経営戦略
投資対象としての不動産としてはあまり取り上げられることのないラブホテルについて、そのオペレーションとともに解説しています。解説と言っても軽い感じで読める本です。
通常のビジネスホテルと違い回転率の差が非常に大きな差を生むアセットなので、その時間単位の料金設定の妙や主要3顧客層(不倫、玄人、若者)の特性の違いによるオペレーションの変化など、なんとなくわかるものの改めて言われると「ああ、そうか」ということが記されています。「ラブホテル経営者がお勧めするラブホの選び方」とか当然なんですけどまとまっていておもしろかったです。
あとは利用者の目的が目的なので通常のアセットよりも清掃に関する記述は多いと感じました。特別清掃、本掃に加えて追掃という簡易清掃まであるのはラブホの回転率の故ですね。軽めの200ページのボリュームで清掃がこれだけ取り上げられるのは少なくともオフィスではないし、シティホテル、ビジネスホテルの教科書でもないと思います。
【Review】ジョン・トラボルタ (出演),スティーブン・ザイリアン (監督) :シビル・アクション
民事(傷害法)専門の零細法律事務所を経営するシュリットマン弁護士。
ウーバンという小さな町の儒民から依頼を受けます。子供の白血病が異常に多く、その原因の責任者(最初は誰なのかもわからない)に謝ってほしいと。
最初は断るつもりだったシュリットマン弁護士ですが、町にある大企業の工場が原因ではないかと感じた彼は多額の賠償金を取れるのではないかと踏んで一転依頼を受けることに…というストーリーです。
派手な展開はありませんが、企業の不動産利用について環境対策を怠ると多額の費用とレピュテーションに係ることを教えてくれます。日本でも水俣病の昔ならともかく現在はここまで露骨な事例は少ないと思いますが、なかなか評価されにくいことが課題ですね。
実話をもとにした映画ですが、シュリットマン弁護士がこの訴訟を機に環境法専門の弁護士にキャリアチェンジしたというのが少し面白かったです。何がきっかけになるかわかりません。